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書評「ファイブ」(平山譲)

ファイブ (幻冬舎文庫)

ファイブ (幻冬舎文庫)

漫画SLAM DUNKを連載する前、井上先生が「バスケットは漫画界では御法度」、つまり売れる訳がないと言われたという有名な話がありますが、そう言えばバスケットのノンフィクション小説というのも本書以外に聞いたことがないかもしれません。

ご存知の通りアイシン電機、今のシーホース三河にMr.バスケットボールこと佐古賢一さんが移籍したことを中心に据えた話です。最近では男子日本代表のコーチを務められておりますし、この間までは広島ドラゴンフライズのヘッドコーチでもありましたよね。

JBL時代の話とは言えまだそこまで昔の話ではないので、佐古さんをはじめ、折茂さん、三河の鈴木HC、元秋田ノーザンハピネッツHCの長谷川さん、JBL新人時代の田臥三河の桜木など、Bリーグからバスケット観戦を始めた方にもお馴染みの面子が顔を出しています。

と言う私もBリーグ誕生前の数年はすっかりバスケットボールから離れていましたので、このファイブで書かれているストーリーは耳にしてはいたものの、知らないことばかりだったのでとても面白く読むことが出来ました。何よりバスケットが小説としても成立する、というのは発見です。

中心人物のひとりである後藤正規さんは、佐古さんと並んで私のバスケットヒーローのひとりでした。当時はどのような人かは存じなかったのですが、どこか侍のような趣のある方だと思っていたので、本書で書かれている人物像がそれに完全にマッチしていて驚きでした。

本書で直接書かれている内容ではないのですが、私が本書を読んでいて一番気になったのが、JBLにせよbjリーグにせよ従来から日本のバスケットボールのファンとしてチームを支えてこられた方と、Bリーグとなり注目度が上がり、そこからファンになった方々とが今後どのように融合していくのかという事です。

従来からのファンであればコア層、最近の方はライト層と単純に区分けすることはもちろん出来ませんが、バスケットの場合は日陰の時代があまりにも長かったので、昔からのファンはよりコアなファンとなりやすい環境ではあったと思います。コアなファンにウケること、ライトなファンにウケること、これはときにまったく違ったりするのが難しいところです。

Bリーグが、そして各クラブチームが、今後どのようにそういった様々なファンにアプローチをしていくのか、そういった部分に注目していきたいな、と改めて思わせてくれた読書となりました。